経営企画部門への異動がきっかけ
新潟日報社は日刊新聞「新潟日報」発行(約40万部)を中心に情報関連事業、文化事業などを展開する会社です。会社でのゴールも見え始めた50歳を過ぎて、私がなぜあらためて学び舎の門を叩いたのか。きっかけは職場での異動でした。
長いこと新聞記者をやっておりましたが、畑違いの経営企画部門で働くことになり、「せめて経営の基礎を理解したい」とチャレンジしました。新型ウイルスの影響下で学生生活を送っておられる皆さんは、たいへんなご苦労をされていると思います。私が修了した年までは普通に授業を受けられ、学友や先生と夜の街に出掛けることもでき、今思えば恵まれた環境でした。
留学生たちの意欲が刺激に
ゼミでは同じメディア関連企業出身の宮島敏郎先生から経営学の先端を学びました。若くて優秀な学生たち、中でも異国の言葉で経営を学ぶ留学生たちの感覚や積極性には大いに刺激を受けました。
また、日々の業務や夜の懇親会をこなしながら、修了要件をかなり上回る単位をいただけたことは自信につながりました。富山栄子副学長の引率で訪れたベトナム視察も得難い体験でした。ベトナムに進出した県内企業を訪ね、現地経営者や社員の生の声を聞き、富山先生の指導で事業創造大学院大学紀要にレポートを掲載することができました。新潟日報紙上でも連載記事を掲載し、企業進出の一端を紹介しました。
地域の課題解決を目指す 事業を展開
大学院修了後、総合プロデュース室という部署に異動しました。2018年に誕生したばかりの職場です。全社の編集力、営業力を総合し、県民や企業の課題解決のワンストップ窓口を目指すとともに、従来の新聞社にはなかった新しい事業に取り組んでいます。
「未来のチカラ」プロジェクトでは、県内を9地域に分け、住民と膝を突き合わせながら、地域の魅力を発信する事業を展開しています。また、企業や団体のSDGsの取り組みを後押する産官学の連携組織「SDGsにいがた」準備会の設立に関わり、事務局を務めています。
老若、国籍を問わず学べる 貴重な場
この春には兵庫県の会社と共同出資し、地域づくり会社「Essa(エッサ)」を設立しました。世界文化遺産登録に向け注目される佐渡市相川地区で、古民家再生を軸とした持続可能なまちづくりに取り組んでおり、いずれは県内全域での事業に拡大します。
さらに、健康寿命日本一を目指す情報プラットフォーム「にいがた元気+(プラス)」を秋から、県内出身者のUIターンを促進する「(仮称)鮭プロジェクト」を来春から展開します。
人生100年時代にあって、私たちのような年代が老若、国籍、業種を問わず学べる場が地方にあることはとても貴重です。修了生のみなさんと、これからさまざまな場面でご一緒できることを楽しみにしています。