社会人として大学院で学びなおすに至った経緯を教えてください。
私は、新潟市の都市政策部において、中心市街地の活性化に関する業務に携わっています。入庁して十数年経つ中、これから自分がどのような分野に進んでいくべきなのか悩んでいたところでもあり、また、今まで学んできたこととは違う分野に触れることにより自分の視野や考え方の幅を広げることが出来るのではないかと考え、職場の公募派遣という形で学び直す機会をいただきました。
大学院で学んだことが現在の仕事や実社会で役立っていると実感するケースはどんなときですか?
大学院で印象に残っている講義は、必修科目であるビジネスプラン作成法、マーケティングの他に、選択科目である市場調査法、経営組織です。これらの講義を通じて、また、演習科目である修士論文に取り組んでいく過程で、現在の業務を見つめ直すことが出来ました。中でも、経営組織の講義においては、自分の今までのキャリアの棚卸しを行うことで、これから自分がどのような分野に進んでいきたいのか、今までのキャリアを活かしつつ、どのような方向性を持ってこれからの業務に取り組んでいくのか等、あらためて整理する良いきっかけになりました。
事業計画書(ビジネスプラン)の作成にあたって社会のニーズをどのように捉えましたか?
私は、「地域の賑わいを創出する力とソーシャルキャピタルとの関連性についての研究」と題して、修士論文に取り組みました。実務として中心市街地の活性化に携わっていく中で、地権者だけでなく、地元商店街、商工会議所等の多様なステークホルダーとの意見交換会を行い、その方々のニーズや意見等を取り込みながら、いかにしてまちなかの賑わいを創出していくのか、それらの評価手法をどうするべきなのかという課題に取り組みました。
大学院修了後に、今改めて抱く目標や展望を教えてください。
修士論文において、「地域の賑わいに関連するソーシャルキャピタルの総合的評価」を定義し、それが「地域の賑わいを創出する力」であると示すことができました。また、今後のまちづくりにおける課題等を抽出し、引き続き検証を行っていく必要があるとしました。これらを受けて、実務と研究、現場と理論とをいかにつなげていくのかを念頭に置きつつ、新潟市が抱える、少子高齢化、人口減少という大きな課題に対して、中心市街地の活性化という切り口で、常に問題意識を持ちながらその解決に取り組んでいくことが、我々都市政策に携わるものに課せられている使命のひとつであると認識しています。