中国民族系自動車メーカーのサービス(准教授 富山栄子)
世界の自動車販売台数が今後増大するのは新興国で、とくに中国は1000人あたりの自動車保有台数が60台に過ぎませんので、今後もまだまだ伸びが期待できます(米国800台、日本600台、ロシア250台)。
いまや、中国は世界最大の自動車市場となりました。国内販売台数は1000万台を越えると予測されています。とくに価格競争力がある中国民族メーカーが飛躍的に拡大する可能性があります。
われわれが調査を行った農村でも、100世帯に対して、民族系メーカーの所有率が最も高かったです。エントリーカーは手頃な価格が鍵となるからです。アフタサービスも、JDパワーの各種指標が悪いと、メーカーから罰金を科されるなどして、ずいぶんと力を入れるようになってきていることがヒアリング調査からわかりました。ディーラーの話しを聞いていると、大きな進歩だと感心しました。
しかし、まだまだ問題は多いです。
その1:
中国民族系メーカーは、短期的志向であって、投資をしません。イランなども工場を建設したわけではないそうで、委託しているにすぎないそうです。中国国営企業は任命制なので長期の投資計画はやりません。任期内に投資最大化しないといけません。それためなのか、やたらと過大広報で、何かを行う前に大々的に報道します。しかし、実際は口先だけでやりません(大風呂敷を広げる)。
その2:
短期的で、売れさえすればそれでいいという志向で、保証やサービスの概念が欠如している。アフリカへ輸出したとき、車が動かなかったが民族系メーカーは責任を取りませんでした。サービスに問題があります。
その3:
商業文化が50年前に破壊され、国際的に通用する商業文化がありません。国内でも騙し合いです。契約書を締結しても、お金を払ってくれません。そうした態度で海外へ進出しています。
これではグローバル社会では通用しないことがわかって、やがて改善されていくものなのでしょうか?
日本や欧米諸国に留学して帰国した中国人はこの点を特によく理解しているようです。