中国・インドを中心としたアジアの時代~みずほコーポレート銀行中島敬雄常務の特別講義~(准教授 富山栄子)
みずほコーポレート銀行、中島敬雄 常務執行役員の特別講演会がありました。
学長とは日本興業銀行時代からのお知り合いで、興銀時代からハンサムボーイだったそうです!このように、学長が中島常務を紹介されたので、改めて、まじまじとお顔を拝見したところ、(そういう点では、結構、見る目があると一部の人から言われたことがあります・・・)納得しました!お話の内容も、資産運用のプロとしての生の声をお聞きすることができ、勉強になりました。
さて、講義の主なポイントは以下のようなことでした。
1980年代から20~30年続いた新自由主義のパラダイムが終わった。欧米はデット(debt:借金、債務)バブルの崩壊である。米国株式は今後もっと下落しても仕方ない。日本はレバレッジ(leverage)をかけていない債務は少ないが、欧米はレバレッジをかけた債務が多い。
かつては、世界に富が蓄積していたので、それでも債務を買ってくれる人がいた。
富とは、金融資産+実物資産―借り入れ=ネットの富(ストックの概念)
1980年は名目GDP=世界の富だった。
ところが、2005年になると、金融資産がアップしたのでGDPに対する世界の富が3倍になった。それを運用しなくてはならない。だが、対象がなかったので、米国の投資銀行が運用商品をでっちあげた。それが、「証券化商品」だった。
トリプルAの株式会社は全世界でたった12社しかないのに、トリプルAの証券化商品はなんと64,000もある。しかし実際にはそんなわけはなかった。その結果、富の運用で泡のごとく消えた。
バブルの頃、外資系サラリーマンは数年で10億円、20億円プレーヤーとなり、ストップオプシヨン、IPO、不動産を買った。また、借り入れ(レバレッジ)でビルを1棟買った。
米国の家計は債務が大きい。今は貯蓄するようになったので消費しなくなった。だから、自動車、住宅、クレジット、レストランなど消費に直結するところがダメになっている。
オランダのグローニンゲン大学のアンガス・マディソン教授は、1820年と1992年のGDPと人口について分析している。1820年の世界経済のGDPは第1位が中国(28%)、2位がインド(16%)、日本は6位で、アメリカはわずか1.8%。人口も中国とインドで世界人口比の50%で、1820年頃は、世界の人口・経済の中心はアジア(中国・インド)にあった。
2025年、2050年には、1820年の数字に戻り、アジアは世界のGDPの半分以上まで回復するのではないかと予測している。
その理由は中国やインドは人口が多くなるので、都市化が始まり、変な奴が出現し、そうした場所からパワーが生まれ、市場として大きく成長するからだ。今後はそうしたインドや中国、ロシア、韓国などアジア中心のビジネスを展開していこうという内容でした。
格付け機関の評価なるものを信じて、ファンドなるものに投資もしてきましたが、トリプルAなんぞあてにできない!ということをどういう手段で知ることができたのでしょう?証券会社などは、十二分に説明責任を果たしてきたので、すべては自己責任。やはり物事は疑ってかからなくてはならないようです。
さて、2008年9月の「リーマンブラザーズ・ショック」以来、アメリカ発の同時不況の嵐が、世界中を吹き荒れています。しかし、中長期的にみれば、世界経済はアジアといった新興国を中心にして成長の道筋をたどることでしょう。中国発・インド発世界優良企業も続々と誕生しています。このピンチ時にそうした国の企業と提携を進めるなど今後の成長の布石を打っていく必要があるのではないでしょうか。企業経営にもグローバル化を見据えた視点が大切だと改めて考えさせられました。