事業創造大学院大学

2026年4月、事業創造大学院大学は
開志創造大学(仮称)へ名称変更予定です。

お知らせ

2009.02.10

DeNA南場智子社長のリーダーシップ(准教授 富山栄子)

DeNA南場智子社長の特別講義がありました。
現在の睡眠時間は平均4時間、コンサル時代は1時間・・・・。
自他ともに認めるタフな女性経営者です。

南場さんはマッキンゼーのコンサル時代、新規事業のプランを徹夜して練り上げても、どんなに一生懸命取り組んでも主体として携わることができない。一度でいいからつきあい通してみたいと思い、DeNAを立ち上げました。
これまで多くの苦労もありました。99年の創業から2002年まで大赤字。その頃は負け組、負け犬と言われてきました。システム、広告、マーケティング、全てやってもヤフーオークシヨンを超すことができませんでした。しかし、いつか必ず勝つと信じて疑いませんでした。赤字続きだったので金策にも奔走しました。2003年に初めて1ヶ月で2000万円の黒字が出て、ようやく黒字化し成長軌道にのりました。ネットの世界では一番手がすべてを取ります。2位以下は黒字化が無理と言われていましたが成し遂げました。
2005年に上場したとき、95%の人はよかったねと喜んでくれたそうですが、5%の人はよく自殺しなかったねと言ったそうです。

現在は毎月10億~15億円の黒字。NO.1を目指したいので全社をあげてモバオクに取り組んでいます。モバゲーの競争優位はSNSとゲーム、ニュース、レシピ、天気予報、小説を楽しめることなど携帯最大の楽しいメディアであること、ゲームの種類が多いことにあります。モバオクの営業利益率は6~7割。200億のキャッシュがあり無借金経営。

こうした快進撃の原動力は携帯等に強い若手社員の活用にあります。
DeNAは球体型組織形態を取っています。これは社員一人ひとりが球の表面積を担い、DeNAを代表しています。つまりどんどん若手に仕事を任せDeNAの顔として仕事をさせています。
今の時代、知識労働の重要性が高まり、責任と自主性を、より組織の底辺にまで広く浸透させることが求められています。若手活用により、DeNAではコラボレーションが進んでいます。

また、DeNAでは一人ひとりがのびのびと仕事をやっており、思考でも常識にこだわっていません。「本当にベストかな?」「もしかしたらベストではないんじゃないの?」と、常に常識を疑い「常識ができた背景を理解して代替案を出す」良質な非常識を重視しています。常識に支配されると無価値になると南場さんは言います。

私もこれまで「常識は疑おう」と何度も言ってきましたが、DeNAのすばらしい点はさらに一歩進んで「常識ができた背景を理解して代替案を出す」点にあると思います。

南場さんには、仕事のやりかたである転換期がありました。

マッキンゼー時代、「お前の価値は何なんだ?」と言われてきたそうです。しかし、コンサルとして初めて仕事がうまくいったとき「自分は役に立たなくてよい。周りに助けてもらってクライアントにとっての価値がでればいいんだ。」ということに気づき、それ以降、最初から自分はアホなので何もわかりませんと、周囲から助けてもらってやっていくうちに、コンサルがうまくいくようになったそうです。

南場さんは、問題の所在はどこにあるのかを正確に理解できる知的能力を持ち、ステークホルダーをふるい立たせるビジョンを描き、金策などの難題を引き受けさせるだけの対人スキルもお持ちです。これらは南場さんの強みだと思います。
しかし、一人のリーダーが、あらゆることをこなせるものではありません。わざと自分を、不完全なリーダーと位置づけ、力を抜くべき時をわきまえておられます。ご自分の強みと弱みを把握し、他人の助けを借りて、自分の強みを生かし、弱みを埋め合わせています。
この世の中には何でもできる完璧なリーダーは存在しないのですから、自分の強みと弱みを見極め、弱みを補完してもらうために、取り巻きの人たちの行動の質を高め、協調を図って経営行動をしていく必要があると感じました。

実は、南場さんを、私は小学校時代、中学校時代、高校時代頃から知っています。小学校時代、一緒に水泳部で毎日、相当、しごかれました。小さい頃から色白の新潟美人で、すべてに対して一生懸命な先輩でした。単なる才色兼備にとどまらず、粘り強く、「根性」がありました。今のそのお姿は変わりません。

今後は、中国、アメリカ参入を手始めに、グローバルなIT企業を目指されるとのことで今度は「水泳」ではなく、一緒に仕事をしたいと思ったのでした。