講演会開催報告・富山副学長「持続可能な新たな経営モデルとデジタルマーケティングの活用」
2021年6月3日(木)、新潟県生産性本部主催の2021年度記念講演会で講演する機会を頂戴し、「持続可能な新たな経営モデルとデジタルマーケティングの活用」と題したテーマで講演をしてきました。今回は簡単にその一部を紹介させていただきます。
〈SDGsビジネスと「ルール」の形成〉
SDGsビジネスに関する日本企業の一例として、例えばダイキンは超省エネエアコンの生産・販売をしていますが、ブラジル政府への働きかけを通して環境規制を変更させ、この超省エネエアコンをブラジルに普及させることに成功しています。
SDGsはこのようにビジネスの「ルール」形成に影響を及ぼしており、環境・社会に配慮する企業には有利になります。政府や地方自治体、企業が形成するエコシステムやサプライチェーンを通じてSDGsを考えない企業には不利な状況が生まれることが予想されます。現在のビジネスは持続可能なのかどうかをたえず省みることが必要となっています。
〈デジタルマーケティングとDXの活用〉
SDGsのゴールである2030年に向けて今後企業が取るべき道筋は非常に明確です。理念にサステナビリティを掲げ、戦略でデジタルマーケティングを駆使し、方法でDXを用います。
そしてDXを通じた新たな成長を実現する共通基盤として、経団連が提案しているSociety5.0 時代の「協創」として異なる企業提携・業務 提携を超えた生活者視点での価値創造や社会課題の解決に立脚したビジネスモデル・エコシステムの構築が重要になってきています。
〈新型コロナウィルス危機とICTを駆使したデジタル化の変革〉
新型コロナ危機でDXが促進され、オンライン商談、新潟直送計画や食べチョク、perrot(ペロット)等のプラットフォームを活用した農家や漁師さんのオンライン販売、ShopifyやBASE を活用したD2C、店舗とポップアップストアとオンラインのオムニチャネル、丸井等の商品を売らない店、VOLVOや日産自動車等、車を売らないブランド体験型店舗等の動きが加速化しています。デジタル社会では、顧客エンゲージメントの獲得が重要です。企業は顧客にとって意味ある価値を創造し、自社や商品サービスの魅力を発信し、認知・体験してもらい、顧客がその価値を認め、最終的に支払いをしてもらう必要があります。デジタル化に対応し最終顧客との接点を意識したマーケティングがすべての企業家に必要になってきています。
B2B企業も同様です。とかく、B2B企業は、 Bに販売することだけに集中しがちですが、エンドユーザーは誰なのかを考え、エンドユーザーにも自社やその製品・サービスを認知してもらう必要があります。従来の手段に加えSNS やデジタル広告、ウェビナーやバーチャル展示会等によってエンドユーザーに体験して楽しんでもらいその良さを体験してもらい、その様子をBに見てもらうこともできます。アフターコロナ時代もウィズコロナ時代と同様あるいはそれ以上にデジタルマーケティングを併用し顧客との接点を増やし、データに基づき意思決定をスピーディーに行っていく必要があります。新型コロナ危機はICTを駆使したデジタル化を進めDXを実現していく第一歩でもあったのです。
地域・国際担当副学長・教授 富山 栄子
担当科目:マーケティング、グローバル・マーケティング、演習Ⅰ・Ⅱ
東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒。
商社にて、輸出入ビジネス、海外企画、外国為替他担当。テレビ局で報道番組の翻訳・解説、通訳・国際交流業務他従事。法廷通訳を経て、新潟大学大学院現代社会文化研究科修了(経済学博士)。専門はグローバルマーケティング、マーケティング。公益財団法人環日本海経済研究所共同研究員。日本精機株式会社社外取締役監査等委員他。
※詳細プロフィールはこちら: /faculty/fulltime/tomiyama-eiko/