【教員レポート】沼田 秀穂 教授 ・・・ テーマ「まずは、『なぜ?』から。そして、社会、組織、市場を観察しよう!」
事業創造大学院大学では、大学院と社会を結ぶ広報誌「J Press」を通じて
より多くの方々に、本学専任教員の大学院での教育活動や取り組みなどを
ご紹介しております。
今回は、「通巻28号」で掲載された沼田秀穂 教授についてお伝えします。
沼田 秀穂 教授
担当科目: 市場調査法、マネジメントサイエンス、演習Ⅰ・Ⅱ
【プロフィール】
電気通信大学大学院電気通信学研究科博士課程修了、博士(工学)専門社会調査士。
大日本スクリーン製造で営業企画、ソリューション事業等を担当。
2002年、シンクタンク系ベンチャーを起業。東京大学先端科学技術研究センター研究員、
国立情報学研究所研究員、情報処理推進機構専門委員等を歴任。
他大学では、情報分析力1・2・3、プロジェクトワークショップ、数理学、社会調査法、メディア論等を担当。
主にICTが社会システムに与えるインパクト研究に従事。
【ピックアップテーマ】 『まずは、「なぜ?」から。そして、社会、組織、市場を観察しよう! 』
担当講義は「市場調査法」「マネジメントサイエンス」「演習Ⅰ・Ⅱ」です。
キーワードは仮説設定、モデル構築とその解析です。
主たる研究フィールドは、社会情報学です。ヒアリング、参与観察、事例観察等の質的研究
による「分析的アプローチ」と、データの解析処理・統計処理等を用いた探索的因子分析、
検証的因子分析(共分散構造分析)、ネットワーク構造分析やマルチエージェントシミュレーション、
ゲーム理論などの数理的手法を用いた量的研究による「構成的アプローチ」の双方向から、
知的協働作業を行う組織におけるSocial Capitalの可視化と信頼メカニズムの解明に取り組んでいます。
Social Capital研究は、地域や社会を対象として始まりましたが、2000年以降、知識労働型の組織にまで
研究対象が広がってきました。
当該研究とは、「Social Capital蓄積は、組織内における行為者にさらなる信頼行為を促進し、自らの利益
を追求することを目指す競争において有利な状況を創出し、ここから知識創造に繋がっていく」という仮説
の検証と、理論化です。
自律協調分散システムの普及とともに、企業の組織構造や競争優位のドメインにも大きな変化が生じています。
ベンチャー企業間の連携や遠隔地間組織のネットワーク化が進展し、新たな知の共有のあり方、
プロセスや場の構築が求められています。知識社会下の新しい企業形態のパフォーマンス向上には、
双方向性や協働性といったコミュニティ的要因への配慮の必要性が示唆されます。
引き続き、多様な企業、地域を含めた知識創造に関わる社会システムを対象とした事例研究を継続し、
知的協働作業を行う組織マネジメントの理論化とイノベーション原理の追求を行っていきます。
講義では、私の実践的な経験に裏打ちされた調査・分析ノウハウを展開します。
さぁ、Make it visible !
ここで、可視化手法を学ぶことにより、日々の企業活動で「当たり前」として疑問を持たなかった事に
目を向け、異なる視野からのアイディアを創造する力へとつながっていきます。
熱意のある院生との議論を期待しています。