北京市ありのまま報告(准教授 富山栄子)
8月後半に科研の調査で中国・北京市と河北省石家庄市近郊の北五女村という農村に行ってきました。
中国は2度目で、北京市は初めてでした。一言でいうと、すさまじい発展ぶりでした。高速道路は整備され、マンシヨンがところ狭しと立ち並び、道路は車で大渋滞です。バイパスから降りることができません。あまりに車が多いので、曜日によってナンバープレートの下一桁で、通行規制をしているのだそうです。それでも、中心部は大渋滞です。
また、いたるところ人だらけです。東京の類ではありません。また、建物すべてが、でかい・・。社会主義では「大きいことはいいことだ」と、駅もホテルも、何もかも、とにかく、大きい!ロシアや北朝鮮と似ています。
聞いた話では、北京で結婚するには、男性が、新築マンシヨン(北京市郊外で2500万円~3000万円相当)と新車を用意しないと、北京市の女性には結婚してもらえないそうです。日本以上です。しかも、中国では相続税がないので、若者にお金がなければ、親や親戚がくれます。一人っ子政策で子供にはお金をかけるので、結構、新車を買うにもマンシヨンを買うにもお金は集まってくるのだそうです。
NSGの専門学校生の車に乗せてもらう機会があったのですが、彼の車はトヨタの600万円の新車「クラウン」でした。彼は23歳で、クルマを2台持っていて、その一台が「クラウン」なのだそうです。お父さんはお父さんで、ベンツに乗っているのだそうです。お父さんはベンツのディーラーをやっていて、従業員1000人を抱える会社の社長だと言っていました。車の売れ行きも他の国とは1ケタ販売台数が違い、絶好調で、半端ではありません・・・・。
北京で知り合った北京外国語大学を卒業した30歳くらいの女性は、今度友達数人と東京へ遊びにいくのだと話していました。北京では様々なブランドものが買えないので、御殿場のアウトレットモールまで行って、120万円の現金を持参してブランドものを買いまくると言ってました。日本のアウトレットモールは、実は、こうした中国からの観光客が得意客なんですね~。日本人は成熟しており、もうブランドものはブームが去ったという気がします。何はともあれ、すさまじい購買力です。
北京市の表だけを見ていると、一体これが新興国なのかどうか、理解できなくなります。
しかし、そうした発展の裏には、まだまだな部分も見られました。たとえば、銀行のサービスの悪さです。中国銀行(Bank of China)で両替をしましたが、客を客と思っていません。国営企業とはいえ、どの従業員も笑顔ひとつありません。お客が10人以上も待っているのに、お昼休みの時間になれば、とっとと窓口を閉めてしまいます。国営企業で働くと、就業時間が決まっているので、それを変更する必要など彼女たちにはありません。昼休みはしっかりと取ります。客もそういうものだとあきらめています。ここまでサービスがひどいと、民間の銀行が参入して人気が出そうですが、国家が銀行の国営を崩さないとのことで民間の銀行がないのだそうです。
そのまま黙って順番を待っていれば1時間も待ちそうだったので、同行してくれた中国人の先生が交渉をしてくださいました。交渉の結果、ようやく40分で両替をしてもらえました。中国では黙って待つだけではダメで交渉しないと物事がなかなか進みません。
また、タクシーは、乗車拒否が非常に多かったです。客を見て、乗せるのか乗せないのかを決める。何度も拒否されました。外国人からなのか、あるいは重い荷物を持っていたからなのかわかりません。
北京市から新幹線に乗って、2時間行ったところに河北省石家庄市がありました。中国の新幹線は実に立派で快適でした。ただ、中国で新幹線に乗るまでが大変でした。座席を予約してあったとしても、出発の15分前くらいまで改札口を通ることはできません。しかも改札口は1つか2つしかなく、長蛇の列です。人々をコントロールするにはその方が楽なのか?あるいは乗客が多すぎて、ホームにあふれるのを恐れてなのか?わかりませんが、非常に不便です。中国では客は待たせるのが当たり前なのでしょう。この国で生きていくには、忍耐力が必要です。改札を通ってから、ホームの新幹線まで、ひたすら歩きます。16両編成の新幹線で、とにかく長い。10分以上ひたすら歩きました。
新幹線に乗ること2時間。石家庄市も急激に発展している都市でした。日本だと東京から乗って群馬に相当するくらいの都市だということです。それから車で約1時間行ったところに北五女村はありました。ひとりあたりの平均年収は7000~8000元(10万5千円くらい)の貧しい農村でした。写真は、北五女村の村役場(共産党執行委員会?)の建物です。ここに1100世帯が住んでおり、自動車は村全体で150~200台。ここでもモータリゼーシヨンが進んでいました。