事業創造大学院大学

2026年4月、事業創造大学院大学は
開志創造大学(仮称)へ名称変更予定です。

お知らせ

2020.07.14 お知らせ

学長メッセージ ~ニューノーマル時代の事業創造を目指して~

学長・教授 仙石正和
 

 
・担当科目:IT基礎技術
※詳細プロフィールはこちら
http://www.jigyo.ac.jp/faculty/fulltime/sengoku-masakazu/

 

1.ニューノーマル時代
昨年11月ごろ、中国武漢市で初めて検出された新型コロナウイルスの感染症(COVID-19)は、その後世界的に感染が拡大(パンデミック)し、20206月現在で、世界のこの感染症による死者数は40万人を超えています。我が国では、緊急事態宣言が発せられ、本学でも、3月の修了式、4月の入学式が中止となり、対面授業をすることができず、現在でも授業は主にインターネットによる遠隔授業が行われています。その理由は、人々が密接、密集したりする場所で、密閉空間に居ることを自粛すること(三つの密(密接、密集、密閉)を避ける)が、感染拡大を防ぐと考えられたことによります。この世界的な感染拡大の影響は様々な領域に波及し、社会生活への影響では、例えば三つの密を避けるように人々の生活スタイルが変化し、感染拡大が収まってもその新しい生活スタイルが残る可能性が大きいことから、ニューノーマル時代(ニューノーマル:新常態、新しい日常)が到来すると言われています。その時代では、テレワーク、遠隔会議、遠隔医薬介護などが増え、人々が直接会わなくても、できるだけ直接会っているように感ずる情報通信技術(ICT)の開発が進むであろうことが予想されています。

 

2beforeコロナ
コロナの感染拡大を時系列的にみると、beforeコロナ、preコロナ、inコロナ、withコロナ、afterコロナ、postコロナ、のようになると思います。現状では、withコロナの状態と考えられますが、今後感染拡大の第2波もあるとの予想ですので、注意が必要です。コロナ感染の始まる前の、beforeコロナでは、どのようであったかを世の中の産業分野などでのキーワードで並べてみますと、株主重視の資本主義から公益資本主義のような方向への変化への期待 、DX(デジタル・トランスフォーメーション)とそれを支える技術として、CPS,ICT,IoT,BD,AI,AR,VR,ブロックチェーンなど、PX(ポートフォリオ・トランスフォーメーション)、SDGs、働き方改革、サービス産業の価値共創、オープンサイエンスなどでした。グローバル化、デジタル化は、クローズからオープンへの(密から疎への)方向性を示し、働き方改革でテレワークなどの推進も目指していました。このことを考えると、私は新型コロナウイルスの感染症の世界的拡大によって、全く新しいいわゆるニューノーマル時代へ突然変わるであろうというより、単に時計が急に速く進んだという印象です。すなわち、ニューノーマル時代はすぐそこに近づいているのです。世界的な感染拡大ですから、個人的な日常だけでなく、社会・政治・経済いろいろな面で世界的な変化があることが予想されます。

 

3.歴史に学ぶ
ご存知のように、ヨーロッパを襲ったペスト禍は、人口減少とともに産業革命を導く結果となりました。産業革命は、蒸気機関の技術が発端として有名です。蒸気機関は鉄道を生みましたが、同時に蒸気機関とはあまり関係ない、電報、写真、肥料、ワクチンの発明、上下水道などの新産業を生み、郵便、新聞、銀行などの登場へと繋がっていきます。この発展のなかで、単に技術の開発のみが、産業を支えたのではなく、製造業などの企業経営(マネジメント)の重要性が認識されていきました。この歴史上の出来事は、現在の状況にも当てはまります。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、「進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革していく」ことを意味しています。DXはとかく現在の企業の仕事に上述のIoTAI技術などでデジタル化しさえすればよいと考えて、結果的に予想に反してうまくいかない例が多く見られます。DXがうまくいく場合は、マネジメントが成功している企業です。コロナ禍などで変動する経済での中でのマネジメントには、PX(ポートフォリオ・トランスフォーメーション)または、CX(コーポレート・トランスフォーメーション)、すなわち、事業環境に応じて、最適な資源配分を行い、組織の変革を行うことが求められています。このようにDXにはPXCXが必要不可欠であることは、産業革命の時代に蒸気機関などの技術と同時に優れたマネジメントが必要不可欠であったことにピッタリと一致しています。

 

4.ニューノーマル時代を生き抜く人材育成
現在、私は「IT基礎技術」という授業を担当していますが、その中で大学院生に「ニューノーマル時代」の事業創造(ビジネス)について、自ら考えたことをプレゼンしてもらい、ディスカッションする機会を持ちました。様々な興味深いアイディアが出され、ニューノーマル時代を力強く生き抜く修了生が生まれると確信いたしました。
今回のコロナ禍は過去のペスト禍の際の産業革命と同様に、多くの新産業を誘導する可能性があります。この時代が、まさにニューノーマル時代なのです。このニューノーマル時代の事業創造を目指し、PX,CXのマネジメントとDXの技術を学ぶことができる最先端の専門職大学院を目指していきます。

 

<補足:用語>
ICT: Information Communication Technology(情報通信技術)
CPSCyber Physical System (リアルな世界とサイバー空間との相互連関)
IoT: Internet of Things (モノのインターネット)
BD: Big Data (ビッグデータ)
AI: Artificial Intelligence (人工知能)
AR:  Augmented Reality (拡張現実)
VR Virtual Reality (仮想現実)